「半沢」直樹に思うこと 後編

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前述の続き。

一同、絶句のあと。
徐々に事実がわかった。

電話をとった人の説明によると・・・

その日の夕方、ある客先から、頼んだものが来てない!と電話があったそうだ。

そうだな・・当時はいうと・・・

毎日、ほとんどが電話注文。
営業の自分でも一日に100本くらいの電話を受けるのは当たり前。

客先の言い間違い。自分たちの聞き間違い。伝票の打ち間違い。
そんなのは、日常茶飯事。

自分も、そんなことがよくあった。
自分の間違い、受注チームの間違い、客先のミス。
原因はさまざまだけど、
本当に客先が困っているなら、自分がその時に動ければ、
配送センターまで、スッとんでいって、製品を引き取り、客先に届けた。
なるべく赤帽は使わなかった。コストかかるからね。

もちろん、知ってる客先なら、こちらのミスでも、
「申しわけない!明日でいいでしょうか?恩にきるよ」なんて、
客先に勘弁してもらうこともしばしば。
客先が品物をとりにいってくれることもあった。

基本はルート営業。
よくも悪くも、客先との ギブ・アンド・テイクを成り立たせてた。
うん、営業同士ならね。

で、話を当日の話に戻す。

その、客先からのクレームを受けた人は、いわゆる業務のひと。

しかも、自分のいたM社に転職してきて、まだ3カ月くらい。
そう、実は、ライバルのT社を早期退職してからの、
第2の就職先が、うちだった。

なれない、受注業務で、しかも、夕方の人も少ない時間帯での、
一本のクレームの電話を受けてしまったのが不運だった。

責任感も人一倍強い人だったから、おそらく、売り言葉に買い言葉。
「わかりました、これから、倉庫で引き取って届けます!」ってな感じに
なってしまったんだろう。

クレームをいってきた客先も、べらんめい調で、みんなが怖がっていた客先だったのも、
災いしたのかもしれない。

荻窪から、はるか座間の配送センターに行く途中・・・
事故にあった。

いや、正確にいうと、ノンブレーキでトラックに突っ込んでしまったらしい。
もちろん、クルマは大破。
即死だった。
ぶつかったトラックの運転手に怪我がなかったのが、唯一の幸いだった。

きっと、慣れない職場での疲れもあったんだと思う。
しかも、夜の環八は込む。
たぶん、2時間くらい運転した末の事故だったんだろう。

居眠り運転かどうかは、わからない。

仮にそうだとしても、責める気にはならなかった。

ただ、「亡くなった」と知ったあとは、みなで手分けして、
電話連絡。
ひととおり連絡が終わったのは、21時くらいだったと記憶してる。

ともかく、大変な一夜だった。

あの時に、もし彼以外が電話をとっていれば。。。
赤帽飛ばして済んだかもしれない。
もし営業マンが電話でていれば、翌日配送で勘弁してもらえたかもしれない。。

その日の夜は、とにかく、いろんなことが頭を駆け巡った。

外せない用事のため、お通夜に行けなかった自分は、
後日、その方の家に線香をあげにいった。

同い年くらいの息子さんに、
「父は、会社でどんなふうに仕事してました?みなさんに好かれてましたか?」
と、涙ながらに聞かれた。
「えー。半沢さんは、とても一生懸命に仕事していた、いい人でした」
とだけ答えた。
息子さん「そうですか。よかった。。」

なんとも、つらい日だった。

その時からかもしれない。

せめて、自分のまわりの人には、
二度と同じようなことは起こさせちゃいけないって思った。

本人が大丈夫、大丈夫、任せて!っていっても、
無茶なことや危険なことをさせちゃいけないって。

本人はつらいのに、そう言っているだけかもしれない。
油断しているだけかもしれない。
そんなことを、感じることを忘れちゃいけないなと。

「おまえ、ほんとに大丈夫か?」って一言を言わないと、ってね。

もう、何年も前のことでしたが、
「半沢直樹」って電車のつり革広告をみたときに、
思わず思いだした。

きっと、自分の中の「半沢」さんは、その教訓を、
この先も、自分に教えてくれるだろうな。

ドラマとは、まったく関係のない話だし、
かなりヘビーなエピソードだけど。

自分の中では、決して忘れられなエピソード。


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